レッドローチ:赤いゴキブリ
【昆虫図鑑wiki】繁殖/餌/飼育/学名/野生
このページでは、レッドローチについて解説します。
- 分類:昆虫網 – ゴキブリ目 – ゴキブリ科 – トルキスタンゴキブリ
- 学名:Blatta Lateralis
- 和名:トルキスタンゴキブリ
- 体長:25mm~30mm
爬虫類のエサ用ゴキブリとして、『デュビア』と双璧をなす『レッドローチ』ですが、正式名称はトルキスタンゴキブリです。
概要 飼育/繁殖 温度/湿度 臭い 脱走 通販/価格 卵/産卵 成長速度/寿命 メリット デュビア 鳴き声 栄養価 野生化
レッドローチとは?/概要
レッドローチ(トルキスタンゴキブリ)とは、中東のトルキスタン原産の『爬虫類のエサ用ゴキブリ』です。
爬虫類用のエサとして、ペットショップでも見かけることがあると思います。
レッドローチの外観
レッドローチ(トルキスタンゴキブリ)は、『レッド』という名前が付いていますが、頭部が赤茶色で、腹部が赤黒い感じのツートンカラーです。
さらに、レッドローチ(トルキスタンゴキブリ)の成虫は、オスがクリーム色、メスが全身赤黒い感じで、オスだけ翅(はね)が生えています。
レッドローチの交尾:⇩(左:メス 右:オス)
レッドローチという名前のわりに、あんまり赤くないんですよね。
※ちなみに、「ローチ(roach)」というのは、英語でゴキブリのことをあらわしています。
レッドローチの飼育/繁殖方法
レッドローチ(トルキスタンゴキブリ)は、生命力の高い丈夫な昆虫なので、飼育するのはそれほど難しいことではありません。(※ただし、レッドローチは寒さによわいので、そこだけ注意が必要です。)
レッドローチ(トルキスタンゴキブリ)の飼育/繁殖に必要なものは、下記のとおりです。
【レッドローチの飼育方法】
- ①ケース:適当なサイズのプラケース
- ②床材:なし
- ③エサ:ラビットフード
- ④給水エサ:プロゼリー
- ⑤シェルター:紙製卵トレー
それぞれ、順番に解説します。
①レッドローチのケース:プラケース
レッドローチ(トルキスタンゴキブリ)のケースは、適当なサイズのプラケースでOKです。
レッドローチのオス成虫には翅(はね)があり、ジャンプ力が高く、大きな隙間があると脱走する可能性があります。
基本的にはレッドローチは飛びませんが、ケースを選ぶときには、20cm×20cmくらいのサイズで、脱走できる隙間のないもの。または、脱走防止用のネットを使うといいですね。
ちなみに、レッドローチ(トルキスタンゴキブリ)は、ツルツルとした壁をのぼることはありません。
②レッドローチの床材:なし
レッドローチの飼育に床材は必要ありません。
レッドローチは、シェルター(隠れ家)のすき間に隠れて過ごしますので、床材は敷かなくても大丈夫です。
さらに言うと、床材を用意しなくても、レッドローチの糞が溜まって自動的に床材のようになります。
ただし、レッドローチの糞は、定期的に掃除してあげたほうがいいですね。
③レッドローチのメイン餌:ラビットフード
レッドローチ(トルキスタンゴキブリ)の餌は、ラビットフードを主食として与えるといいですよ。
なぜなら、ラビットフードは植物質ベースでにおいもなく、栄養バランスに優れているからです。
かるく水でふやかしてから与えると、レッドローチの食いつきもバツグンです。
ゴキブリ飼育には「ラビットフード」が一般的ですね。
動物質のものを与えると、においが臭くなります。
④レッドローチの給水エサ:プロゼリー
ラビットフードをふやかすことで、一緒に水分補給もできるのですが、一応給水&タンパク質補給のために『プロゼリー』も与えておきましょう。
『プロゼリー』は、高たんぱく質でトレハロース入りの昆虫ゼリーで、普通の黒糖味のゼリーとは一線を隔す「昆虫ゼリー」です。
※トレハロースは、昆虫のエネルギー源です。
バナナ味でレッドローチの食いつきもよく、水分と栄養分が補給できる優れものです。
とくに、レッドローチの繁殖を目指すなら、「ラビットフード+昆虫ゼリー」の組み合わせがおすすめです。
⑤シェルター:紙製卵トレー
紙製の卵トレーは、ゴキブリの育成用として、3セットで500円くらいでAmazonや楽天市場で売っています。
レッドローチ(トルキスタンゴキブリ)の隠れ家/シェルターとしては、この「紙製卵トレー」を使うか、「園芸用鉢底ネットを、結束バンドで丸めたもの」を使うのが一般的です。
どちらでもいいのですが、とにかく隠れ家となるシェルターを用意してあげましょう。
というワケで、以上の5点を守れば、レッドローチ(トルキスタンゴキブリ)は、比較的簡単に飼育/繁殖することができます。
もともとがゴキブリなので、かなり丈夫です。
ちなみに、レッドローチ(トルキスタンゴキブリ)は雑食性なので、くず野菜やキャットフードでも育成できますが、湿気のおおい餌はカビやダニの原因となり、注意が必要です。
レッドローチの温度/湿度管理
レッドローチは、自然環境では中央アジア、コーカサス山脈、北東アフリカ、などの広い範囲でみることができるゴキブリです。
レッドローチは比較的低温に弱く、下記のとおりです。
【レッドローチの限界温度】
- 上限温度:42℃
- 下限温度:16℃
「デュビア」なら、保温なしでも室内温度0℃くらいまでなら、耐えることができますが、レッドローチは中東の高温で乾燥した地域が原産のゴキブリなので、16℃以下くらいで死にます。
耐寒性が気になるなら、『デュビア』を飼育したほうがラクですね。
レッドローチの活動/繁殖適温は、下記のとおりです。
【レッドローチの活動/繁殖適温】
- 活動/繁殖適温:27℃~35℃
中東原産のゴキブリなので、かなり高い温度を好みます。レッドローチを繁殖/成長させたいなら、パネルヒーターや爬虫類用ヒーターなどを使い、ケース内温度を30℃くらいにすると、活発になりますよ。
湿度は、それほど気にする必要はありませんが、もともと乾燥した地域に生息しているゴキブリですので、なるべく乾燥させておいたほうがいいです。
というワケで、レッドローチは意外と寒さに弱く、「下限温度:16℃以下」になると、死にはじめます。
沖縄以外の地域では、レッドローチ飼育ではヒーター必須になります。
レッドローチの臭いはクサい?
たまにネットの意見では、『レッドローチは臭い』と書いてあるのを見かけますが、ラビットフードで育てれば、言うほど臭くはありません。
おそらく動物質の餌をあたえれば糞が臭くなると思うのですが、植物質のラビットフードを与えている限りは、それほど臭いが気になることは無いですね。
レッドローチ(トルキスタンゴキブリ)は、もともと乾燥地域に生息しているゴキブリですので、霧吹きなどせずに、乾燥させて飼育するといいですよ。
そのほうが臭いもおさえられます。
とは言え、『デュビア』よりは確実にくさいです。独特のゴキ臭があります。
レッドローチの脱走について
「レッドローチは壁をのぼらないので脱走しない。」という意見もあるかもしれませんが、ジャンプ力が結構あるので、ジャンプして逃げようとすることがあります。
ですから、レッドローチの飼育ケースでは脱走防止のアミを張るか、しっかりとフタをしめておきましょう。
とくに、オスが活発に動き回ります。
レッドローチの通販/販売価格
レッドローチ(トルキスタンゴキブリ)は、爬虫類のエサ用として、ペットショップや通販サイトで販売されています。
【レッドローチの通販/販売価格】
- 1パックあたり:¥1300円くらい
Amazonや楽天市場でも、「レッドローチ」と検索すれば通販で購入できますよ。
レッドローチの卵/産卵
レッドローチは増える/増えすぎるという意見をよく目にしますが、増える速度としては『デュビア』とおなじくらいの体感です。
そこまで一気に増えるわけではありません。
ちなみに、レッドローチ(トルキスタンゴキブリ)は卵生(らんせい)のゴキブリなので、卵鞘(らんしょう)と呼ばれる「袋状の卵」を産みます。
レッドローチの卵鞘:⇩
『マダガスカルゴキブリ』や『デュビア』などのゴキブリは、卵胎生(らんたいせい)なので、お腹のなかで赤ちゃんを育ててから産みますよ。
卵胎生のゴキブリ:⇩
ちなみに、レッドローチの繁殖適温は、28℃~35℃くらいです。ですから、25℃以下まで温度をさげれば、レッドローチの繁殖をおさえることができます。
レッドローチが増えすぎて困ったときには、管理温度を20℃くらいまで下げてみてください。
レッドローチの成長速度/寿命
レッドローチの成長速度は、下記のとおりです。
【レッドローチの成長速度】
- 卵:孵化まで1ヵ月
- 幼虫期間:約3ヵ月
- 成虫期間:3ヵ月~9か月
レッドローチ(トルキスタンゴキブリ)は、『デュビア』とくらべると成長が早く、購入してから2~3ヵ月で繁殖期を迎えることができます。
ショップで幼虫を購入すれば、約2か月くらいで成虫になると思いますよ。
レッドローチは成虫になってから3ヵ月~9か月生きるので、合計の寿命は約1年くらいですね。
レッドローチ:エサ用ゴキブリ
レッドローチの『餌用ゴキブリ』としてのメリット・デメリットを、エサ用ゴキブリとして双璧をなす『デュビア』と比較して解説します。
メリットは、下記のとおり。
【レッドローチのメリット】
- ①成長が速い。
- ②サイズが小さい。
- ③管理がラク。
①成長が速い
レッドローチはデュビアより成長が早く、すぐに成虫になるのがメリットですね。購入してからすぐに繁殖に入りやすいです。
②サイズが小さい
また、1匹あたりのサイズが小さいので、小さめの爬虫類のエサとしても使うことができます。
【サイズを比較】
- レッドローチ(成虫):25mm~30mm
- デュビア(成虫):40mm~45mm
お口の小さな生体であれば、デュビアよりもレッドローチのほうが食べやすいと思います。
③管理がラク。
これは、コオロギとくらべると、圧倒的にラクです。
【ゴキブリは管理がラク】
- 鳴かない
- 死なない
- 臭くない
温度だけ管理して、あとはラビットフードと昆虫ゼリーを与えておけば、勝手にドンドン増えていきます。
乾燥させておけば、においも臭くならない。
レッドローチのデメリットは、下記のとおりです。
【レッドローチのデメリット】
- ①低温によわい。
- ②動きが速い/速すぎる。
①低温によわい
レッドローチは低温によわく、16℃以下だと死んでしまいます。レッドローチを繁殖させるには26℃以上に保温する必要があり、多少の電気代がかかります。
その点、『デュビア』は耐寒性もあるので、デュアビは室内温度0度くらいまでは耐えられますよ。
②動きが速い/速すぎる
レッドローチはゴキブリらしく、「カサカサ」と動きがはやく、捕まえるのにすこしだけ苦労します。
ケースの床掃除などで移し替えるときに、一度逃げ出してしまうと捕まえるのが難しいです。レッドローチが脱走したら、かなり捕まえるのは難しいですね。
レッドローチとデュビア:どちらがいい?
エサ用ゴキブリ『デュビア』:⇧
よくある疑問として、エサ用ゴキブリを飼育するのに「デュビアとレッドローチ、どっちがいいの?」という疑問があると思います。
結論から言ってしまうと、下記のとおり。
- デュビアは耐寒性があるのでラク。
- 生体のサイズが小さいなら、レッドローチ。
- 飼育の難易度は、どちらも同じ。
デュビアとレッドローチの何が違うのか?と言えば、下記のとおり。
【デュビアとレッドローチの違い】
- ①見た目
- ②耐寒性
- ③成長速度
どちらも飼育の難易度はそれほど変わらず、エサをあたえて放っておけば、勝手に増えていきますね。
さらに、エサと水をまったく与えなくても、1ヵ月くらいは生きていける丈夫さを持っています。
ですから、あとはあなたが飼育している生体のサイズと、ゴキブリの見た目の好みで決めればOKですね。
どっちでもたいして変わらないです。
レッドローチは温度管理の手間があるので、『デュビア』の方が少しラクかもしれませんね。
レッドローチの鳴き声はある?
レッドローチを含むほとんどのゴキブリには、鳴き声はありません。『マダガスカルゴキブリ』は、腹をふくませて鳴き声をあげますが、レッドローチは鳴かないです。
マダガスカルゴキブリの鳴き声:⇧
レッドローチの栄養価について
レッドローチの栄養価は、大体たべているエサによって決まってきます。
ラビットフードなどの植物質でバランスの取れたエサを食べさせておけば、爬虫類用のエサとして、栄養バランスも良くなりますよ。
ちなみに、爬虫類用のエサとしては穀物専食の『ミールワーム』なども管理がラクですが、『ミールワーム』は栄養バランスが悪いのが難点。
生体の栄養バランスを考えると、雑食性のゴキブリを餌にしたほうがいいですね。
『レッドローチ』や『デュビア』は栄養バランスにも優れています。
レッドローチの野生化について
レッドローチ(トルキスタンゴキブリ)は、生命力の強いゴキブリですから、「野生化するのではないか?」と思われるかもしれません。
しかし、レッドローチは中東の乾燥地域が原産のゴキブリなので寒さ/湿気によわく、基本的には日本の自然環境で野生化することはありません。
気温16℃以下で死にはじめ、気温10℃以下で死滅します。
ただし、暖房の効いた屋内であれば余裕で生き残ることができるため、逃げ出すと屋内でしぶとく生き残ります。
脱走にはくれぐれもご注意ください。
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