クロゴキブリ【昆虫図鑑wiki】
幼虫/卵/飼育/巣/駆除/対策
このページでは、クロゴキブリについて解説します。
- 分類:ゴキブリ目 – ゴキブリ科 – ゴキブリ属 – クロゴキブリ
- 学名:Periplaneta fuliginosa
- 和名:クロゴキブリ
- 体長:30mm~40mm
- 寿命:1年半~2年
概要 生態(卵 幼虫 成虫) 飼育.繁殖方法 エサ 温度.湿度管理 巣 糞(フン) 退治.駆除対策 侵入経路
クロゴキブリとは?/概要
クロゴキブリとは、日本でも全国に生息している代表的なゴキブリの一種です。
家の中に出てくるゴキブリと言えば、本種『クロゴキブリ』と小さめの『チャバネゴキブリ』が双璧をなします。
チャバネゴキブリ:⇩
※チャバネゴキブリは茶色くて小さいゴキブリです。
クロゴキブリの特徴
クロゴキブリの体表はワックスでコーティングされており、見た目がギトギトしていて気持ち悪い。
ながい触角をもち、カサカサと高速で移動し、ツルツルとした壁でもよじ登ることができます。
不衛生で湿度の高い環境を好むため、病原体やウイルスを媒介する『衛生害虫』に分類されています。
クロゴキブリは日本のゴキブリ種のなかでも耐寒性が高く、北海道でも屋内で越冬することができる。
※クロゴキブリの餌/飼育方法については後述する。
クロゴキブリの生態①:卵/出産
クロゴキブリは卵生のゴキブリであり、クロゴキブリのメス成虫は、20~30個のたまごが入った袋である「卵鞘(らんしょう)」を産み落とす。
クロゴキブリの卵鞘(らんしょう)の中には、20個~30個のクロゴキブリの卵が詰まっており、40日前後で赤ちゃんが孵化する。
クロゴキブリの孵化 画像:⇧
ちなみに、『マダガスカルゴキブリ』や『サツマゴキブリ』などのゴキブリ種は、卵胎生(らんたいせい)と呼ばれる出産方法をとる。
卵胎生のゴキブリの出産:⇩
クロゴキブリのメス成虫は、7日~10日おきに卵鞘(らんしょう)を産み落とし、生涯で17個前後の卵鞘を産むことになる。
また、クロゴキブリはメスだけでも繁殖(単為生殖)が可能である。
クロゴキブリの生態②:幼虫/赤ちゃん
クロゴキブリの初令/幼齢の幼虫:⇧
クロゴキブリの幼虫は、初令/幼令~終令では、大きく見た目が異なる。
クロゴキブリの幼虫は、生涯で9回~12回の脱皮をくりかえして成虫になるが、初令/幼齢の赤ちゃん幼虫には、背中に白い横スジが入るのが特徴である。
初令~幼齢では、色も黒が基調となる。
クロゴキブリの中令/終齢の幼虫:⇧
中令~終令のクロゴキブリの幼虫には翅(はね)はないが、色がかなり赤みを帯びている。
クロゴキブリなのに、赤褐色である。
クロゴキブリの幼虫期間の成長速度は、エサや温度/湿度などの環境により異なり、最短で半年~最長で2年ほど。
暖かい期間/豊富なエサがあれば、早く成長する。
クロゴキブリの生態③:成虫
クロゴキブリが活動を開始するのは、気温が17℃前後になる、4月下旬~5月にかけて(地域により異なる)。
17℃以下では活動も鈍り、10℃以下では繁殖もおこなわずに物陰に潜んで休眠していることが多い。
クロゴキブリの成虫のサイズは30mm~40mmほどで、メスのほうがやや大型なことが多い。
クロゴキブリの雄雌:⇧
(左:メス/右:オス)
クロゴキブリの卵鞘(らんしょう)も、9月の終わり~秋にかけて産み付けられたものは孵化せずに越冬し、5月~6月にかけて孵化する。
クロゴキブリの活動適温は、25℃~30℃である。
10℃以下で休眠し、36℃以上では乾燥により死滅する。
クロゴキブリの飼育/繁殖方法
クロゴキブリは、市販の昆虫用プラケースの中で、ペットとして飼育/繁殖することができる。
ただし、見た目が気持ち悪く、脱走のおそれがあることから、日本人でクロゴキブリをペットとして飼育している人は珍しいです。
※ペット用ゴキブリとしては、『マダガスカルゴキブリ』や『ドミノローチ』などが人気。
クロゴキブリの飼育/繁殖方法
クロゴキブリを飼育/繁殖するのはそれほど難しいことではない。
そのやり方は、下記のとおり。
【クロゴキブリの飼育/繁殖方法】
- ①ケース:適切なサイズの飼育用プラケース
- ②床材:ヤシガラ、昆虫マット、など
- ③隠れ家:紙製卵トレー、樹皮、など
- ④エサ:ラビットフード、昆虫ゼリー
- ⑤温湿度管理
クロゴキブリの飼育①:飼育ケース
クロゴキブリの飼育ケースは、適切なサイズの昆虫飼育用のプラケースが利用できる。
クロゴキブリはツルツルとした壁をのぼることができるので、脱走防止に防虫ネットを貼る。
または、脱走できる隙間のないケースを選ぶ。
サイズは30mm×30mm程度でOK。
クロゴキブリの飼育②:床材
クロゴキブリ飼育の床材は、ヤシガラマット、昆虫マット、腐葉土など、手近な床材でOK。
むしろ、クロゴキブリは床材なしでも、飼育/繁殖することができるので、それほど気にする必要はない。
クロゴキブリの飼育③:隠れ家
クロゴキブリは夜行性のゴキブリであり、昼間は物陰や狭い隙間に隠れて過ごす習性がある。
クロゴキブリ飼育の隠れ家(シェルター)には、下記のいずれかを使うのが一般的です。
【クロゴキブリの隠れ家】
- ①紙製卵トレー
- ②樹皮や材木、朽木
- ③鉢底ネットを結束バンドで丸めたもの
Amazon/楽天市場などの通販サイトから購入できる。
クロゴキブリの飼育④:エサ
クロゴキブリは雑食性のゴキブリであり、穀類、野菜、くだもの、など、人間が口にするものなら何でも食べる。
ただし、飼育環境下では、栄養バランスに優れたペットフードを使うのが一般的であり、下記のとおり。
【クロゴキブリの餌】
- ①ラビットフード
- ②ハムスターフード
- ③コオロギフード
- ④給水用:プロゼリー
ラビットフードやハムスターフードなど、植物質のペットフードは栄養バランスにも優れ、においも控えめでクロゴキブリの食いつきもいいです。
野菜やくだものなど、水分量のおおい餌を与えると、ケース内でカビやダニが発生しやすいので注意が必要です。
クロゴキブリの餌や床材は、なるべく乾燥した状態を維持するのがいいですね。
クロゴキブリの給水エサ:プロゼリー
クロゴキブリの水分補給用のエサとしては、『昆虫ゼリー:プロゼリー』を与える。
プロゼリーは、高たんぱく、昆虫のエネルギー源となる「トレハロース入り」のプロ向け昆虫ゼリーです。
プロゼリーが用意できない場合は、ラビットフードに水分を含ませたもので代用できる。
クロゴキブリの飼育⑤:温湿度管理
クロゴキブリ飼育では、温湿度管理がいちばん重要になります。
クロゴキブリの飼育適温は、下記のとおり。
【クロゴキブリの飼育適温】
- 活動/繁殖適温:25℃~30℃
- 活動低下温度:17℃以下
- 休眠温度:10℃以下
- 耐寒:0℃
- 高温:36℃
クロゴキブリは耐寒性も高く、室内温度0℃くらいなら加温せずに越冬できます。
ただし、クロゴキブリの活動適温は25℃~30℃であり、17℃以下になると成長速度が低下し、繁殖もしなくなります。
もし積極的に繁殖を狙うなら、『パネルヒーター』や『保温用電球』を使い、温度管理をするといいですね。
ケース内の湿度は、乾燥させたほうがいい。
なぜなら、湿度があるとカビやダニが発生します。
昆虫ゼリー:プロゼリーなどで給水すれば、ケース内を加湿する必要はありません。
というワケで、クロゴキブリの飼育難易度はそれほど高くはありません。飼育用のエサは『ラビットフード+プロゼリー』を用意し、脱走防止の対策をすれば手軽に飼育することができる。
クロゴキブリは、1ヵ月くらい餌をあたえずとも、水さえあればしぶとく生き残ります。
クロゴキブリの巣はありません
クロゴキブリは集団で密集することがあります。
とくに、冷蔵庫の裏やシンクのまわりなど、湿気と温度がある場所を好んで、隙間に身を隠します。
ただし、クロゴキブリが巣をつくることはありません。
「隠れやすい場所に密集して集まりやすい。」というだけで、巣をつくっているワケではありません。
おおくの場合、クロゴキブリは屋外から隙間を通って侵入してきます。クロゴキブリが屋内に侵入する理由は、エサとなる食品/生ごみ/水分があるから。
クロゴキブリの侵入を防ぐには、こまめに掃除して部屋を清潔にし、食品類はすべて冷蔵庫に。生ごみはふた付きのごみ箱に入れて臭いが漏れないようにしましょう。
クロゴキブリの糞(フン)
クロゴキブリの糞は人間にとって、アレルゲン(アレルギー物質)であるだけでなく、サルモネラ菌や大腸菌などの病原菌の媒介となる。
クロゴキブリの糞(フン)は、大きさ2mm~2.5mmほどで、クロゴキブリが食べた餌の種類で糞の内容物も変化する。
クロゴキブリにとって、糞(フン)がある場所は、居心地のいい場所であり、クロゴキブリは自分の糞を食べる習性がある。
クロゴキブリの退治/駆除対策
クロゴキブリの退治/駆除対策は、下記の方法が有効です。
【クロゴキブリの退治/駆除対策】
- ①ベイト剤(毒餌剤)
- ②くん煙剤/くん蒸剤(バルサン)
- ③殺虫スプレー
- ④ゴキブリホイホイ
クロゴキブリの退治/駆除対策①:ベイト剤(毒餌剤)
ベイト剤(毒餌剤)は、クロゴキブリが好む餌のなかに、殺虫成分(毒)を配合することで、毒餌(ベイト)を食べたゴキブリが死滅するという製品です。
クロゴキブリが侵入しそうなシンク周りや、冷蔵庫のすき間などに置くだけで、長期間の効果が持続する。
クロゴキブリの退治/駆除対策には、ベイト剤がコストパフォーマンスが高く、効果の高いやり方です。
クロゴキブリの退治/駆除対策②:くん煙剤/くん蒸剤(バルサン)
クロゴキブリを退治/駆除するには、『バルサン』や『アースレッド』などの「くん煙剤/くん蒸剤」が有効です。
くん煙剤/くん蒸剤を使用するときには、クロゴキブリの逃げ場をなくすためにも、すべての部屋で同時に対策をするのが重要です。
また、くん煙剤/くん蒸剤を使うのは、クロゴキブリが活動を始める4月~5月に1度。そして、生き延びた卵が孵化する1か月後にもう一度使います。
そして、クロゴキブリの活動が最も盛んになる7月~8月に3度目のくん煙剤/くん蒸剤を使うのが推奨される。
※効果は高いが、手間がかかるやり方です。
クロゴキブリの退治/駆除対策③:殺虫スプレー
クロゴキブリをその場で退治/駆除するには、ゴキブリ用の殺虫スプレーを使います。
ゴキブリ用の殺虫スプレーは、ゴキブリに効果の高い殺虫成分が配合されており、短時間でクロゴキブリを殺虫することができる。
クロゴキブリの退治/駆除対策④:ゴキブリホイホイ
クロゴキブリを捕獲して退治/駆除するなら、ゴキブリホイホイが有効です。
ゴキブリホイホイはゴキブリの駆除方法として有名ですが、それほど多くのゴキブリを退治できるワケではありません。
クロゴキブリを効率的に退治/駆除するには、『①ベイト剤(毒餌剤)』と『②くん煙剤/くん蒸剤』が有効です。
クロゴキブリの侵入経路はどこから?
クロゴキブリの侵入経路は、下記のとおりです。
【クロゴキブリの侵入経路】
- ①玄関の郵便受け
- ②窓のすきま
- ③排水溝/換気口など
クロゴキブリは、通り抜けられる隙間さえあればどこからでも侵入してくる。
とくに、幼虫/赤ちゃんゴキブリは非常に小さな1mm以下のすき間でも通り抜けて侵入してきます。
そういったクロゴキブリを撃退するためにも、毒餌剤(ベイト剤)を設置しておくといいですね。
その他のゴキブリについては、下記をご参照ください。
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